先日『ぼけますから、よろしくお願いします』というドキュメンタリーを観ました。
認知症になっていく87歳の母親と耳が遠い95歳の父親の暮らしをテレビ業界に勤務している娘さんが丹念に切り取った作品です。
続編もあって、老々介護やコロナ禍での母親の看取りの様子がありのままに映し出されていました。勿論、介護をする家族の大変さは伝わってきましたが、認知症が進んでいく当事者、母親の苦悩や、姿がありのままに描かれた作品に出会ったのは、初めてでした。
母親の老いていくことへの恐怖や混乱が映し出されていて、リアルタイムで撮っている娘さんの心境を考えながら観ていると胸が苦しくなる場面も何度かありました。
何より、「認知症の本人はわけが分からなくなっているから、周りの人が振り回されることはあっても本人が、辛さを抱えているとは思っていなかった。認知症の本人はこんなにもつらいんだと自分の勘違いに気付いた。」と娘さんが後に語ってらっしゃいましたが、私も
勘違いしていたと思います。
ふと、頭をよぎった言葉が「ぼけたもん勝ち!」という言葉。
この意味って何だろう?
認知症の人は、進行してくると、昨日の出来事は忘れてしまっているから、毎日が新鮮でいいやん、ってこと?
認知症になっていない人はそれなりに加齢による至らなさ、出来ていたことができなくなったことに悩むことが多くなるけど、認知症が進行してくると、そんなことすら気付かないから幸せ?そんなことは絶対ないですよね。
この作品を観た後、他人事とは思えず、自分の家族に思いを馳せずにはいられませんでした。
昨年、5年間施設にいて最後の2年間は、コロナで会う機会が減ってきてほとんどしゃべらなくなり少しずつ認知症も進んできた義母が98歳で逝きました。
最期は施設のご厚意により、特別室に移され、家族みんなで見送ることができ、大往生でした。
そういえば、彼女は、80歳代のころから「ぼけたもん勝ちやから!」とよく言ってました。
あれは、「これからぼけますから、よろしく」ってことだったんでしょうか(笑)
お盆を前に故人を偲んでみました。

映画「ぼけますから、よろしくお願いします」公式サイト https://bokemasu.com/bokemasu1/
Comments